効果的なデザインフィードバック
今回はデザイン業務を行う際に避けて通れない、「デザインのフィードバック」について書いてみようと思います。
また、この記事を書くに当たって「みんなではじめるデザイン批評」を参考にさせて頂きました。
デザインのフィードバックとは
通常のデザインプロセスにはフィードバックのステップがあります。
私も画面のデザイン、顔面のデザイン共に自身が無いので必ずチーム内でフィードバックもらいます。
具体的なステップが下記になります。
このサイクルをグルグル回すことで、デザインがどんどん良くなる、 もしくはどんどん自身を失っていきます。
デザインフィードバックでの課題
私はフィードバックを受け取る側になることが多いですが、 上手くフィードバックを引き出せなかったなと思うことがあります。
要因としては下記のようなことが思い当たります。
- ファシリテートが上手できていない
- デザイン意図の説明ができおらずレイアウトの説明になっている
- 効果のあるフィードバックとは何なのか理解できていない
- フィードバックすると私が落ち込むので気を使われる
これらの課題の中で、「効果のあるフィードバックとは何なのか理解できていない」を解決する為に、良いフィードバック、悪いフィードバックとは何なのかについて少し考えてみました。
悪いフィードバック
まずは悪いフィードバックです。これはデザイン改善にあまり効果的でないという意味です。
反応型
「ダサい」、「使いづらい」、「世界観がほしいんだよね〜」のような直感的な意見になります。
人間ですので、当然好き嫌いがあります。 セロリが好きだったり、嫌いだったりするはずです。
フィードバックに最も多いのがこの反応型のフィードバックではないでしょうか。
指示型
自分の理想の形が見えている人からのフィードバックに多いです。
「ここのボタン赤くしたほうがいい」、「ファーストビューに見えるようにして」のような具体的な指示の意見になります。
ときには、修正されたデザインカンプが送られてくることもあります。 面倒見がいいお兄さんタイプです。
悪いフィードバックの特徴
このような反応型や指示型のフィードバックは、デザイナーが目的を達成する為に考えたことが考慮されてないことが多く、デザインの問題点がわかりずらいです。 その為、問題を改善する際にあまり参考にならないです。
悪いフィードバックには4つの特徴があります。
1. 自己中心的
フィードバックする側が、目立ちたい、優秀な人と思われたい、好きな女の子にかっこいいところを見せたいなど個人的な動機に基づく意見です。
クラスに必ず1人はいる、友達になれないタイプです。
2. タイミングが悪い
フィードバックを求められていない場で、自分の考えを伝えても相手には伝わらず無駄になってしまします。
告白は雰囲気作りが重要です。
3. 説明が足りない
フィードバックの意図をしっかり説明していない為、正しく相手に理解されないことがあります。
「これじゃ〜誰もクリックしないよ!」と言われても何故クリックしないのかの説明がないので、正しく改善が行われません。
他人の想像力を期待してはいけません。
4. 偏っている
自分の偏った考えや好みでフィードバックする為、デザインの意図が全く考慮されない場合があります。
あなたのラッキーカラーは、ユーザーのラッキーカラーではありません。
良いフィードバック
良いフィードバックのポイントは下記3点です。
- デザインの目的を理解分析する
- 目的に関連しているデザイン要素を理解分析する
- その要素は目的を達成するのに効果的かを分析する
デザインされた目的を理解し、目的を達成する為にそのデザインは正しく機能しているかを分析します。
これを批評型のフィードバックと言います。
批評型の例
実際に私が担当しているプロジェクトを例にしてみたいと思います。
「企業の動画活用を、あたりまえにする。」というコンセプトのもと、企業向け動画共有プラットフォーム「VideoSpace」というサービスを運営しています。
簡単に言うと、社内で気軽に動画配信を行えるサービスです。 誰でも簡単に動画配信、視聴ができることがこのサービスにおいて重要です。
「誰でも簡単に動画配信できる」という目的の為に、まずは入り口としてユーザーがわかりやすい位置に動画投稿用のボタンを配置しました。
四角で囲んだボタンを押すことで動画投稿用のフォームが表示されます。 このボタンは、下にスクロールしたら消えて、上にスクロールしたら現れます。
チームメンバーからのフィードバック
動画投稿ボタンについてチームのメンバーから下のようなフィードバックを貰いました。
ユーザーに動画を投稿してもらう為に、わかりやすい位置にボタンを配置することは良いけど、下にスクロールでボタンが消えてしまうのは問題があるかもしれない。
なぜなら、上にスクロールするアクションと、動画を投稿するアクションは結びつかないので、ユーザーはボタンがあることに気づかない可能性があるのでは?
フィードバックを受けての改善
重要なボタンの為、ユーザーがわかりやすい位置にボタンを配置する必要はありますが、 ボタンの機能とユーザー操作が結びつかない為、目的が達成できない可能性があります。
そこで、ヘッダーナビゲーションに動画投稿ボタンを配置することにしました。
フィードバックを与える側、受け取る側の心構え
フィードバックには常に受け取る側と、与える側の立場が存在します。 より効果的な話し合いをする為には、双方正しい心構えをする必要があります。
この心構えはデザインのフィードバックにかぎらず、日常のコミュニケーションでも役立つかもしれません。
フィードバックを受け取る側の心構え
フィードバックは素直に聞く
オジサンになればなるほど、他人の意見を素直に聞けなくなります。 口からオシリの臭いがすると言われても受け入れません。
しかし、フィードバックをもらう場合は全ての言葉を素直に受け入れ、どんな意見が返ってきても言葉の意図を探りデザイン改善に活用しましょう。
褒めてもらおうと思わない
良いフィードバックは、厳しい意見が多いです。 事前にそれを聞く心の準備をしておきましょう。
褒めて欲しい場合は、事前に褒められて伸びるタイプだと伝えましょう。
デザインは自分自身ではない
作成したデザインに対して厳しい意見がでると、まるで自分の人格を否定されているような気分になり、トイレに閉じこもりたくなります。
しかし、デザインに対しての意見であって自分自身が否定されているわけではありません。 意見を素直に受け入れられなくなるので、切り離して聞きましょう。
フィードバックは目的達成の為の答えではない
フィードバックで貰った意見は、最終的な目標を達成する為のヒントであって答えではありません。
フィードバックを与える側の心構え
質問してみる
全てのコミュニケーション質問から始まります。
デザインについて質問してみることで、作業結果だけでなく作業の背景にある意図にも興味を持っていることが伝わります。
ただ、相手がイライラしないように質問の仕方は工夫したほうが良さそうです。
思い込みをしない
人生は自由ではありません。むしろ不自由です。デザインにも同じことが言えます。
目的達成に最善のデザインと思えない場合も、そのデザインに至った理由があるかもしれません。 IE6がターゲットブラウザに含まれているのかもしれません。
勝手な思い込みは避けて、デザインに影響がでる制約があるのかを確認しましょう。
押し付けない
お気に入りの曲を集めたオリジナルテープで、女性の心を掴むことはできません。 むしろ面倒な奴だなと拒絶される可能性が高いです。
目的を達成する為に少しでも役に立ちたいという謙虚な気持ちで臨むことが大切です。
良い点もフィードバックしよう
フィードバックは問題点に対してだけ行うのではなく、良い点についても行いましょう。 良い点についてフィードバックすることで、フィードバックを受ける側が問題点に対するフィードバックを受け入れやすくなります。
また、良い点について話し合うことで、デザインが正しい方向に進んでいることを確認できます。
ユーザー視点を意識する
個人的な好みのフィードバックにならないように、想定されるターゲットの視線で見るように意識することが大事です。
まとめ
今回は「効果のあるフィードバック」について書いてみました。
とにかく大事なのは、サービス、プロダクトを良くしたいという気持ちです! 愛があれば、どんな壁も乗り越えられます。